最大150cmを超える巨体から生まれる強烈な引きと、その身のおいしさから多くの釣り人が憧れるアラ釣り。本記事では、アラ釣りについて磯と船に分けてタックルや仕掛けをご紹介します。アラの生息域や釣りにおすすめなシーズンに関してもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
アラとは
多くの呼び名がある魚
アラはスズキ目ハタ科に属する大型の海水魚で、モロコやアオナなどさまざまな呼び名をもつ人気の魚です。標準和名は「クエ」で、全国的にはこちらの方が通りがよいかもしれません。
同じスズキ目ハタ科に標準和名が「アラ」という魚がいますが、こちらとは魚種が異なります。
アラの生態
アラの成魚の大きさは平均60〜80cmで、中には150cmを超えるサイズもいる巨大魚です。日本沿岸の磯釣りで釣れる魚では最大級の大きさとなり、昼の時間は岩磯の陰に潜んで夕方から夜にかけて魚類や甲殻類、イカなどの獲物を単独で探しにいきます。
成長すると性転換する魚
アラは、成長に伴って性転換をする魚です。アラは全て雌で卵からかえり、満2歳までは雌のまま成長していきます。成長が進んで60cmを超えると、その個体が雄に性転換して繁殖するのです。
アラ釣りにおすすめのタックル
磯アラ釣り向きタックル
アラは巨体とパワーから釣るのが難しい魚種で、磯で釣るのは簡単ではありません。そのため、アラの力に負けないパワフルなタックルと仕掛けが必要になります。磯の根に潜られないように、強引なファイトができるタックルを用意しましょう。
磯アラ用釣り用ロッド
磯アラ用のロッドは、長さ4〜5m程度の大物用磯竿が必要になります。アラのパワーと戦う負担を少しでも軽くするために、粘り強く反発力のあるブランクスを採用しているものがおすすめです。
ガイドを破壊される可能性もあるので、なるべくハイクラスのロッドを選びましょう。
磯アラ釣り用リール
磯アラ用のリールは、ギア比1:7以上のハイギアで15号のPEラインが1km以上巻ける大型両軸リールを用意してください。アラの引きは強烈なため、リールもそれに負けない頑丈さとドラグ性能が求められます。こちらもロッドと同様、予算の許す限りハイクラスのものを選びましょう。
磯アラ釣り用ライン
磯アラ用のメインラインは、PEラインなら15号以上、ナイロンラインなら60号を基準に選びましょう。小型のアラを狙うなら30号、大型のアラを狙うなら90号と狙うサイズによって切り替えるのがおすすめです。岩磯はラインがストラクチャーに擦れることが多いので、ナイロンを選ぶとよいでしょう。
船アラ釣り向きのタックル
船アラ釣り用ロッド
船でアラ釣りを行うなら、長さ1.8〜m程度の大物釣り用の船竿がおすすめです。磯よりも短いロッドになりますが、磯アラ釣りロッドに負けないパワーのあるロッドが必要になります。
こちらもガイドが破壊されないよう、なるべくハイクラスのロッドを選びましょう。
船アラ釣り用リール
船でのアラ釣りは、磯と違って電動リールを使用します。そのため、最低でもPE15号を300m以上は巻けるサイズの電動リールを選んでください。アラの引きに負けないよう、ハイパワーで高耐久の電動リールを用意することをおすすめします。
船アラ釣り用のライン
船でのアラ釣りに使うラインは、PEラインなら15号以上、ナイロンラインなら100号程度のラインが必要になります。船アラ釣りでは岩磯に比べてラインを擦るストラクチャーが少なくなるので、ナイロンより細いPEラインの方が使いやすいでしょう。
【磯アラ】捨てオモリ仕掛け
磯アラ釣りの仕掛け
磯アラ釣りでは、岩磯に仕掛けが引っかかって頻繁に根掛かりが起こりやすいです。そのため、根掛かりすることを前提にした捨てオモリ仕掛けを使います。仕掛けの構造は簡単で、メインラインの先にサルカンを挟んでリーダーを結び、その先に親子サルカンを結んでハリとオモリをつけてください。
仕掛けのサイズ
捨てオモリ仕掛けに使うリーダーの長さは、2mほどです。ハリは、市販のアラ釣り専用ハリを使うようにしてください。オモリは流されにくい小田原型で、40号g程度あれば十分です。リーダーやハリを結ぶサルカンも、ロッドやリールと同様に頑丈なものを選ぶようにしましょう。
オモリのラインを細くするのがポイント
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捨てオモリ仕掛けのコツは、オモリと親子サルカンを結ぶラインを細くすることです。磯アラ釣りの仕掛けは35号のワイヤーハリスを使うので、一度根がかるとハリスを切って回収するのは簡単ではありません。
そこで、オモリのラインを切りやすくして仕掛けを回収する手法をとりましょう。
捨てオモリに使うライン
捨てオモリに結ぶラインは、切れやすいナイロンラインがおすすめです。上記にも記載したように切れることが前提なので、号数は3〜5号程度あれば十分です。
ナイロンラインでも高価なものはなかなか切れない可能性があるので、比較的リーズナブルなラインを使用するとよいでしょう。
磯アラ釣りの餌
磯アラ釣りでは、活きた魚を餌に使うのがおすすめです。活きアジや活きサバ、活きムロアジなどを背がけにして使いますが、活き餌がない場合は冷凍の魚でも代用できます。
アラ以外の魚に餌を取られる可能性もあるので、餌の活きを確認がてら20分毎に餌があるかをこまめに確認するのがコツです。
磯アラ釣りのポイント
撒き餌を渋らない
磯アラ釣りのポイントは、撒き餌をしっかりと行うことです。冷凍のサバやイワシの切り身などをキャストするポイント付近に撒き、アラを集めましょう。磯アラ釣りは、アラのいるポイントにキャストするのではなく、潜んでいるアラをおびき寄せる釣り方だと意識してみてください。
必要な撒き餌の量
岩磯よりも先にいるアラを誘い出すため、撒き餌に使う餌は15〜30kgとそれなりの量が必要です。また、撒き餌によってアラ以外の魚種がかかる可能性も上がるので、それを撒き餌や付け餌にするのも一つの釣り方です。
アラのアタリの取り方
アラは比較的アタリの分かりやすい魚種ですが、慌ててあわせてしまうとハリにかからず、餌だけ取られてしまう可能性があります。そのため、ぐっと我慢して竿がさらに引き込まれるまでフッキングを待つのがコツです。
磯アラを釣るなら夕方から夜がおすすめ
磯アラ釣りは、アラのいるポイントに仕掛けを投げ入れるのではなく、撒き餌でアラをおびき寄せる釣りになります。そのため、アラの活動が活発になる夕方から夜にかけての時間帯がおすすめ。
夜の磯は足場が悪く危険なので、ヘッドライトなどの装備を十分に整えるようにしてください。
【船アラ】イカ泳がせ釣り仕掛け
船アラ釣りの仕掛け
船アラ釣りで使う仕掛けも、磯アラ釣りと同じ捨てオモリ式の仕掛けです。メインラインの先にサルカンを挟んでリーダーを結び、親子サルカンに26号前後の泳がせ釣り用のハリと捨てオモリを取り付けます。沖は流れが速いため、200号程度のオモリを使いましょう。
この際、泳がせ用のハリは市販のものを使用しても構いません。
船アラ釣りのリーダーはナイロンが主流
船アラ釣りと磯アラ釣りの仕掛けの構造は同じですが、リーダーに使うラインの種類が違います。メインラインの項目でお伝えしたとおり、船アラ釣りでは磯アラ釣りほど根ズレを起こさないため、リーダーはより安価なナイロンが主流です。1mほどの長さの100号をリーダーにしましょう。
船アラ釣りの餌
船アラ釣りでも磯アラ釣りと同様に活き餌を使いますが、活きイカを使うのが九州を中心に人気となっています。活きイカは、頭部にハリをチョン掛けするだけで使えますが、餌の鮮度が重要なのでこまめに餌の状態を確認し、弱っていたら付け替えるようにしてください。
船アラ釣りのポイント
生き餌の扱いは丁寧に行う
イカを活き餌に使う際は、とにかく扱いに気をつけてなるべく弱らせないようにしましょう。イカのエンペラにハリを通したり、急激に底に仕掛けを落とすとイカが弱る原因になるため控えてください。
こまめにタナを変える
沖のクエは、底だけでなく海底から少し浮いたポイントにいる場合もあります。アタリがない場合はラインを5mほど巻き取り、再度落とすなどしてタナを切り替えてみましょう。また、イカをエサにしているとアラは一気に食いつくので、気持ち浅めにタナを取るのもコツです。
船アラ釣りのファイトは初めが肝心
アラは、かなり衝撃のあるアタリを出してさらに一気に逃げ出します。ここで重要なのが、アラの勢いに負けてそのまま岩磯に潜られないようにすることです。一度潜られると、一気に根ズレでラインを切られる恐れがあります。また一度巣穴など岩の隙間に逃げ込んだアラは死ぬまで出てこないとまで言われるほどエラを張ってもの凄い力で抵抗します。初動は踏ん張り、一気に底から引き剥がすようにしましょう。
アラの生息域と釣りのシーズン
アラの生息域
アラの生息域は、温帯から熱帯に位置する沿岸部で西日本や台湾周辺、西シナ海、東シナ海沿岸が主です。地方別にみると九州の釣り場が人気ですが、静岡や神奈川など東日本の太平洋側で釣れることもあるようです。
アラの好む場所
アラは、水深200mより浅い岩磯や岩交じりの砂地に生息しています。決まった場所で生活する習性を持ち、あまり遠くへ泳ぐこともほとんどしないため、アラを狙う際はアラのいる場所の情報を得てから釣り場を選ぶのがおすすめです。
アラ釣りのシーズン
アラ釣りの最盛期は秋から冬
アラは時期を問わず1年中釣れる魚とされていますが、産卵を終えた9〜2月頃がよく釣れる時期だといわれています。
一方、産卵時期である7〜8月頃は産卵後による身の衰えと個体数の減少があるので、アラ釣りに向いた時期とはいえないでしょう。
身のおいしさで狙うなら秋
アラは鍋料理が人気なので身の旬は冬と思われがちですが、実は夏から秋のアラの方が鮮魚店などでは高い評価を得ています。この時期はアラが産卵で消費した体力を戻す頃であり、アラの身から余分な脂が落ちるため、冬よりおいしく食べやすい人気です。
コツを押さえて高級魚のアラ釣りを楽しもう
アラは人気のある魚種ですが、高級なタックルを使ったり釣り方もコツが必要となる魚です。近年では釣り道具をレンタルできる釣り船も増えているので、本記事でご紹介したタックルやシーズンを参考に、ぜひ挑戦してみてください。